例えばキャラメル味のプラリネやコーヒーヌガーの入ったチョコレイト。
可愛い包装をされたいちごやメロンの色とりどりのキャンディ。
アーモンドダイスやココナッツスライスとかココアなんかがたっぷり入ったクッキー。
ピンクや水色に着色されたマシュマロだとか、動物の形をしたグミだとか。
水谷は、いつも甘いものを持っている。
いっそ呆れるくらいに。










ムースポッキー税込み150円










「・・・水谷って、いつも甘いもん持ち歩いてるよな」
「んー?ほーぉ?」
「そうだろ、現在進行形で口に咥えてるんじゃん。今日のは何?」
「ムースポッキー。基本に戻ってショコラのヤツ」
そうして、何が基本なのかオレにはさっぱりわからないけれどポッキーを咥えたまま「美味いよ。チョコふわふわで」とにっこり、ポッキー以上に甘ったるそうな微笑を見せる。
高1男子が菓子一つでここまで幸せそうに笑うってどうなんだろう。
そりゃ、これが田島や三橋でも目を輝かせて嬉しそうに笑うんだろうけど。あいつらの場合、甘いかどうかじゃなくて飢えをしのげるかどうかだもんな・・・そこらへんはオレもあいつらより甘いもんは好きな方とはいえ似たようなもんだけど。
だけど水谷の場合、ポッキーを齧る仕草のひとつとってもオレや田島たちとは違う。
にこにこと袋の口を開け、チョコレイトのついていないプレッツェルが指先に触れる感触を楽しみ、ふんわり目のチョコレイトとプレッツェルの歯ごたえを確かめて噛み砕き、舌で甘さとココア独特の苦味と香りを堪能して咀嚼する。
仕草一つ一つが幸せで満ち溢れているとでも言うのだろうか。
ひょっとしたら水谷は日本一甘いものを幸せそうに食べるのが上手い男子高校生かもしれない。
「栄口も食う?」
そしてついでに、日本一菓子を勧めるのがうまい男子高校生でもあるだろう。
だって、本当に幸せ一杯って感じに食べるから、すごい美味そうに見えんだもん。
オレは1本貰ってパキリとそれを齧った。
口の中に甘味がふんわりと広がる。






(今キスしたら、コイツ笑うかな)



そんな馬鹿なことをふっと思ったのは秘密。











おお振り文、二本目サカミズ。
最初はイズハマと9組を平行で文章打ってたのに弟を見てたらこっちの方が先に仕上がりました。(笑)
うち、甘党多いからネタには困らないんだよな、水谷。
というか、フミキは輸入食品専門スーパーなんかでアメリカンサイズの箱に大量に詰められたマシュマロとかゼリービーンズとかグミとかを買ってきて7割がた自分で食って姉ちゃんに怒られていると思うよ。(我が家の実話ネタ)










戻る