「一年は組、成長六年生で11のお題。」より。お題提供は
こちら
1:巡る季節(は組オール)
「と言うわけで、今期の委員会を決めようと思うんだけど・・・」
「はーい、そんなら学級委員は庄ちゃんしかいないと思いまーす」
「「「「「「「「「賛成ー」」」」」」」」」
「で、乱太郎は保健委員でー」
「え?6年連続私っ?」
「諦めろ、お前以外適任はいないから」
「体育委員は金吾が適任だし」
「・・・まぁ、修行になるから別にいいけど」
「(体育)会計委員は団蔵向き出し」
「・・・何か会計の前に字が入ってる気がするんだけど」
「気にしない気にしない」
「寧ろ、今年も前と同じでいいと思うな」
「そうだよなー」
「今更変えてもって話だしな」
「それじゃ、今回の委員会選挙終わりでいい人ー」
「「「「「「「「「「はーい」」」」」」」」」」
「え?反対私ひとり?」
「それじゃ、多数決の結果今年も前期の委員会を引き継ぐ形に決まりました」
「ちょっ、それじゃ結局今年も私保健委員ー!?」
忍者がわかりやすい癖なんて持っていちゃいけないって解っているんだけどね。
2:なおらないんだよね、これだけは。(庄←団?)
「団蔵、また筆の持ち方が箸の持ち方になってる」
ふと、手元の本から顔を上げ庄左エ門は僕に注意をする。
「え?あ。ホントだ」
言われたとおり手元を見ると、何時の間にやら筆を握っていた指は彼の言うとおり箸を握るときの持ち方になっていた。全く、さっきまで本に集中していた癖にこんなささやかな変化によく気付くよ。
1年の頃から冷静で観察眼の長けた奴だと思ってはいたが、ここ数年でぐんと伸びたなぁと半ば他人事のように思いながら僕は持ち方を直す。
庄左エ門は呆れたように僕をたしなめる。
「全く、そんな持ち方するから相変わらず字が汚いんだよ。忍者がそんなわかりやすい癖持ってちゃ駄目だろ。下手に覚えられてしまったら変装している時なんかに正体がばれることだってあるって授業でも習ったじゃないか」
・・・毎度のことながらこれ以上ないくらい正論だ。でも、それでも僕にだって言い分はある。
「うん、解っているんだけど。なおらないんだよね、これだけは」
「全く、もう何年も言い続けているんだからいい加減直そうとしてくれよ。まぁ、気付いているのは僕くらいだろうけどさ」
ほら、そうやって仕方ないと言ってる癖に君は僕の世話を焼いてくれるから。嬉しくって僕はこの癖が直せない。
3:ぼくらの忘れもの (金吾と喜三太)
「そういえば僕、途中入学なのに1年生の頃の4月の委員会選挙のこと覚えてたりするんだけど一体いくつになるんだろ?」
「喜三太、それ禁句だから」
4:あの時は全然だったけど、今は互角じゃない?(虎若+伊助)
「まだまだ、こんなもんじゃ足元にも及ばないよ」
「そう?もう学園じゃ敵う人いないと思うんだけど」
「そりゃ言い過ぎだって。少なくとも僕にはまだ遠くの火縄銃の銃口に向けて弾を渡すなんて芸当できないし」
「そんな状況に陥ることも少なそうだけど・・・」
「それにあの人はきっとさらに腕を磨いてるからね。まだまだ頑張らなきゃ。」
「・・・もう充分だと思うけどなぁ」
自分+漬物石を乗せたまま平気で腕立てをする友人は、自分にとっても憧れの人を目標にさらに高みを求め続けてる。
5:ぼく達はそんなに急にはかわれません
(きり丸+しんべヱ)
「金楽寺の和尚さん」
「そりゃ、住職」
「部屋とかを飾る」
「そりゃ、装飾」
「学校のお昼に決まった時間に出る」
「そりゃ、給食。じゃなくて、就職!どうしようかなぁって言ってんだよ!」
「なぁんだ、そっか。それならそうと最初から言ってよ〜」
「いってんだろうが!!」
「・・・何ていうか、ほんとに6年間やり取りかわんないよな。お前ら」
色々悩んでとりあえず出した答えだけど
6:到達点(気持ち的には庄団)
じゃあ団蔵はやっぱり家を継ぐんだ
「うん、うちは他に継ぐ人もいないし表向きはね。」
それじゃあやっぱりここの連絡役も引受けるの?
「うん、やっぱりこの学園には恩もあるしせっかくここに入ったんだからね。忍者としての仕事もしたかったからちょうどいいかなって思って。庄ちゃんはどうするの?」
んーまだフリーか城勤めかで考え中。でもやっぱり表向きは君みたいに家を継ぐ形になるかな。
「そっかぁ、でもまあ」
そうだね、まあ
最後の答えに至るには、まだ可能性がありすぎて
『当てにならないよね、こんな予定』
僕らはまだ到達点には至れない。
7:下級生にちょっかいだしてこよっと。(庄VS兵→団)
「勘弁してください」
「何でさ、別に僕が下級生と交流を持ったっていいじゃないか」
「良くない!今うちの委員会に下手なちょっかいだされたら皆で徹夜しなきゃなんだぞ!?」
「僕に関係あると思ってるの?」
「う・・・でも困るんだって、僕はともかく一年の子とか巻き込みたくないよ。乱太郎とか庄ちゃんにも怒られるし」
「ふうん?で?」
「おばちゃんの定食奢るってので手を打たない?」
「次の休みに峠で逢い引きならいいよ」
「・・・お前のとこもなかなか予算出さないからこんなに忙しいんだけど」
「うん、だから奢らせまではしないだろ?僕って優し〜い」
「・・・わかったよ。出掛けるくらいなら幾らだって付き合う」
「出掛けじゃなくて逢い引き。もしくは逢瀬」
「うんうん、そういうのは女の子としろよ。もてるんだから」
「やだな。僕が好きなのは団蔵だけだぜ」
「あ〜、そりゃ有難うございます〜」
「お、信じてないな?なら体でわからせてもいいんだぜ?」
「ちょっ!今本当に忙しいんだって兵太夫!おい!変なとこ触るなって!」
パンッ!
「兵太夫、団蔵とっても忙しいんだからあまり虐めないでくれるかな」
うっわ、相変わらず団蔵関係だと目が笑ってないよなぁ。コイツ。
何気に怒らせると怖い相手の登場に僕は渋々団蔵から離れた。
8:怖いものはなくなった
(金吾)
踏んだら吹っ飛ぶ床板。
開いたら桶の落ちてくる押入れ。
竹やりで埋め尽くされた落とし穴に、どんでん返し。
抜け穴、つり枠線、等々年々凝ったつくりになっていくからくりたち。
「六年間こいつらの部屋行き来していればなぁ」
嫌でも怖いものなんてなくなるさ。
9:ねぇ、覚えてる?(きり乱きり)
私たちと会って6年近くたって。
毎日お祭りみたいに騒ぎまくって。
夜魘されて、突然起きることも無くなって。
それでも君は、まだ。
「きりちゃん、まだ覚えてる?」
「まぁな、一生持ってくって決めたし」
「そっか・・・」
失った痛みも悲しみも思いでも全部抱えて、歩いてく。
捨てちゃえば楽になるのに捨てられないのはきっとどケチだからだけじゃないんだろう。
だけどね。
「まぁ、もう大分マシになったし大丈夫だろ。お前らもいるし」
「うん」
6年近くかけて、漸く頼ってくれること。実は嬉しいと思うんだ。
10:笑う事は忘れずにいたよ(三治郎と兵太夫)
悲しいこともあったよ。(試験で山勘外れたりとか)
苦しいこともあったよ。(やたらと多い走り込みとか)
怖いことも沢山あった。(山田先生の女装とか)
でもね。
いつだって皆で一緒に笑ってきたら。
「いつのまにか乗り越えたことも多いよね」
かつて笑顔でい続けることに疑問を抱いていた友人は、そう言って今日も笑う。
11:さぁ、明日も。
皆で笑ってすごそうか。
10年後も20年後も胸を張って楽しかったと笑えるように
此処でであったかけがえのない仲間と一緒に
今日も明日も頑張ろう。
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