1.手のひらに口付けを(舳重)
「俺のこと、どうしたら好きになってくれる?」
そういって、泣き出しそうな顔で俺の手をとると重はおもむろに手のひらに口付けた。
ついでとばかりにちろり、と赤い舌で誘うようにそのまま舐めあげる。
まったく、どこでこんなもん覚えてきたんだよ、お前は。
ガキだがきだと思っていたが、どうやら思い違いだったらしい。少なくとも、こんな粋な真似できるくらいには。
「・・・ったく、お前にしちゃ上等な誘いだよ。歯止めが利かなくなっちまうじゃねえか」
「何がだよ。意味わかんねえ」
「まぁ、据え膳食わねえのは男の恥だからな」
そして、驚かされた仕返しとばかりに俺は重の口に唇を重ねた。
「手のひらなら懇願のキス」フランツ・グリルパルツァーの「接吻」より引用。
多分掲示板で書いた「うたかた」の続き。
ぶっちゃけた話、こいつらはどっちかがちゃんと踏み出せばあっさり纏まる気がする。
2.額に幼い口付けを(兵団※金喜話と微妙にリンクしてます)
「団蔵団蔵、こっちこっち」
そう、兵太夫が呼んだから、僕はくるっと兵太夫のほうに顔を向けた。
ちゅっ
「って、いきなり何すんだよ!」
「なぁんだ、こんなもんか」
「なぁんだじゃない!しかも僕いきなりこんなことされた上こんなもん扱い?」
「べつにいいじゃない。たかがおでこだろ?口にしたわけじゃないんだし」
「良くない!全然良くない!!大体、なんでいきなりそんなことするんだよ!」
「ん〜、だって、団蔵のおでこちょうど髪が分かれてるし」
「そんならきり丸だって三治朗だっているだろ」
「その上、ちょうどいい位置にもあったし」
「・・・今に兵太夫よりでっかくなってやる」
「うん、期待しないで待ってるよ」
兵太夫が、意地悪くにこっと笑った。
僕は絶対兵太夫を追い抜かしてやろうと誓った。
「額なら友情のキス」フランツ・グリルパルツァーの「接吻」より引用。
乱きりと三年とでまよいつつもアニメの身長差に萌えたので兵団で。
多分友情じゃないような気もする。
金喜版と似ているのはリンクしているからですよ。・・・余計なことしかしないなうちの兵太夫
3.額に優しい口付けを(義鬼)
時折だが、義は俺の額にそっと口を合わせるときがある。
まるで猫がじゃれるかのような戯れのときもあれば、傷を舐めるようにしっとりと色気を匂わすようなときなど雰囲気はさまざま
だがどちらにしろいい年をした男同士でやるもんではない。
なので俺は決まって文句を言う。
すると義は決まってこういうのだ。
「俺のお袋の国じゃ親しい友人にはこうするんだそうですよ」
と、胡散臭いながらも女受けのいい笑顔を浮かべながら。
こうなると、いくら胡散臭くとも黙るしかない。
義のおふくろさんはとっくに天命尽きているし、仲間は多くいるものの同年代の友人はお互いだけなことは承知しているので確か
めようがないからだ。
そして何よりも。
本当にたまに、俺に触れてくる義の仕草が女でも相手にしているかのように優しいときがあったりするので、俺は自然と今の状態を保ち続けている。その意味を問いかける勇気など俺は持っていない。
なので俺は今日も文句を言いつつも、額に義の口づけを受けている。
「額なら友情のキス」フランツ・グリルパルツァーの「接吻」より引用。
初義鬼。実は義鬼も好きなのですよ。
義はもう少し手馴れてるくらいで良いような気がするんだが、こんな感じにでかい図体でうざく鬼蜘蛛丸さんに絡んできているほうが好きだ。その後兄さんたちにどやされていれば尚いい。(愛)
4.頬に暖かな口付けを(金喜※兵団とリンクしてます)
「金吾、金吾、こっち向いて?」
「ん〜何喜三・・・」
ちゅっ
ガタガタガタッ
ガツッ
「ちょっ、大丈夫?金吾。今すっごい勢いで壁にぶつかったよね?」
「へ、平気・・・喜三太、これ誰に習った?」
「んー、兵太夫にこうしたらきっと金吾が喜ぶからって教えてもらったんだけど」
「あー、そっかー、兵太夫かぁ。あのやろう」
とりあえず明日あったら殴っておこうと僕は思った。
「頬なら厚意のキス」フランツ・グリルパルツァーの「接吻」より引用。
兵団版と似ているのはリンクしているからですよと最後に説明してみる(最悪だ)
5.手には衝動的な口付けを(滝タカ)
滝夜叉丸君はすごい子だ。
髪はさらさらだし、成績もいいし、美人さんだし、綺麗な髪をしているし、すごくいい子だ。
そりゃ、ちょっと自惚れやさんで自慢話も好きみたいだけど、その分頑張り屋さんみたいだしあれで結構面倒見もいい。
現に、今日も今日とて編入したてで何もわかっていない俺に付き合って手裏剣の投げ方を教えてくれている。
「・・・で、後は体勢を崩さずこう・・・」
そういって、滝夜叉丸君の手から離れた手裏剣はスパンッと的に吸い込まれるように突き刺さる。
「うわ、すごいすごい。また真ん中じゃん」
「ふっ、この忍術学園一の戦輪の名手滝夜叉丸にとってはただの手裏剣を的に当てることなど朝飯前です」
「ねぇねぇ、もう一回。もう一回やってみてよ!今度はそのせんにん・・・?ってので」
「せんにんじゃなくて戦輪です。かまいませんがもう一度だけですよ?タカ丸さんの特訓も始めねばいけませんから」
口ぶりこそ仕方なさそうだけど、そんなに悪い気がしているわけじゃなさそうだ。
懐から黒いわっかみたいな手裏剣を取り出すと、滝夜叉丸君は指でくるくるとそれを廻し出す。そして狙いをつけて・・・・・・投げる。
トスっ、いとも簡単に的の真ん中の黒いとこのど真ん中に突き刺さる。
「すごい・・・」
俺は思わず息を飲み込んで
「すごい、すごいよ滝夜叉丸君!一発でど真ん中に命中してる!!流石せんにんの名手だね!!」
「だから戦輪です。まぁ、このくらいこの滝夜叉丸には出来て当然。タカ丸さんとてこの私自ら教えるんですから努力次第でできるようになることでしょう」
「ホント?じゃあ早速練習しよう!?ええっと手裏剣の持ち方は・・・」
グサッ
・・・・はしゃぎすぎて、練習前から怪我をしてしまった。
「何やってるんですか!!」
「・・・えへ?切っちゃった?」
「切っちゃったじゃありません!小松田さんでもあるまいし何で手裏剣を取ろうとしただけで怪我をするんですか!」
「何でだろうねぇ?まぁこのくらいなら舐めとけば直・・・」
俺の言い訳が終わる前に、滝夜叉丸君は俺の手を掴むなり傷口に唇を寄せた。
そして舌を上手く使って傷口から血をすい、ぷっと吐き出した。
・・・。
・・・・・・。
「まったく、手裏剣の扱いには気をつけてくださいと言ったはずです。しかも髪結いを生業にしている方なら尚更手の怪我に気をつけなくてどうするんですか!」
「あぁ・・・うん、ごめんね?」
「私に謝っても仕方ないでしょう!傷口から膿んで困るのはタカ丸さんなんですよ!?こんなことで髪結いが出来なくなってしまったらどうす・・・随分顔が赤いようですが大丈夫ですか?」
「あ、うん?大丈夫大丈夫っ!!全っ然元気ッ!!」
「あまりそうは思えないのですが・・・。まぁ、どの道軽い怪我とはいえ消毒たほうがよいでしょうから保健室にいって見てもらってはどうですか?」
「そ、そう?じゃあちょっと顔も暑いからそうさせてもらうねっ!?」
「何だやはり熱があるんじゃないですか、辛いようなら保健室まで送りますが・・・」
「大丈夫っ!そこまでじゃないから気にしないで!じゃあねっ!!」
そういうと、俺は勢いよくきびすを返し走り出した。
まったく、いきなりあんな顔してあんなことして来るなんて反則だよ。
きっと、耳まで真っ赤になっちゃってるんだろうなぁ何て思いながら、俺は滝夜叉丸君ってやっぱりすごいやと思った。
「手なら尊敬のキス」フランツ・グリルパルツァーの「接吻」より引用。
マイナー上等、滝タカ。ひそかに布教中。
と言うわけでいつもより滝をかっこよくかいてみようと思いました。
正直すまんかった。これ滝じゃないそしてタカ丸は乙女すぎた!!
次(があったら)もう少し気をつけます。
6.首には所有の口付けを(綾三木※くっついたあたりの話)
左の鎖骨の窪みから、上に大体三指。はっきりと脈をとりやすい皮膚の薄くなったそのあたり、隠そうにも不自然さまでは隠せない部位。そんな位置を綾部は決まって口付ける。
「見えるようなとこにはするなって言ったはずだろ」
当然だけど僕は怒る。しかし言ったところで綾部は悪びれる様子もない。楽しげな表情で笑うばかりだ。
「言ってたね。でも僕としてはやっぱり余計な虫につかれたくないし」
「余計な虫って、お前なぁ。僕は女の子じゃないんだぞ」
「知ってるよ。でも三木綺麗だし厄介な人間に好かれやすいじゃない」
「お前以上に厄介な人間なんていないだろ」
当然の文句をいえば、あっさりそうかもね何て認めてまたにっこりと人形めいた整った顔で笑う。
ああ、全く厄介だ。
きっとこいつはこうして僕の首に口付けるたび、僕に熱を送ってるに違いない。
じゃなきゃこいつ相手に、こんなに顔が熱くなったり心臓の音のうるささに頭が働かないわけないのに。
こいつは平然としたままで。僕は憎らしくてたまらなくなるんだ。
「腕と首なら欲望のキス」フランツ・グリルパルツァーの「接吻」より引用。
くっつき初めの綾三木。多分、6年くらい。
ここにいたるまでを書いてないのでいつもと雰囲気違います。(じゃあ、書いてください)
でも、くっついちゃえばなんだかんだ言って三木のほうがほだされると思う。A型だし。(お前全国のA型に謝れ<砂月もA型ですけどね)
7.大好きな君に口付けを(庄団※五年くらいの話。雰囲気エロ)
夜も更け、夕餉も風呂も終えた頃、布団を敷くなり僕の部屋だと言うのに団蔵はごろりと横になった。
何というか、すっかりくつろぎ体勢だ。課題を教えて欲しいって言って僕の部屋に来たくせに。
風呂上りで胸元は結構はだけてるし、脚も軽く組んでいるせいであられもなく投げ出してるしで正直、僕は困ってしまった。
・・・目のやり場に。
そりゃあ、団蔵は普段着から露出の多い服を着ているので見慣れているし、男なんだからそもそもそんなに問題はない。
多分ないと思う。
問題があるとすれば、それに一々反応してしまっている僕のほうであって、ここに伊助がいれば呆れてため息の一つも吐かれるだろうし、兵太夫やきり丸だったらからかい倒してくるにちがいない。
違いないんだけど、それはそれ。理屈としてはわかっていても僕は困ったことに団蔵のことが好きなわけで。
それも、分類的に本来なら女の子相手に持つような好きという気持ちを持っているわけで。
まさに据え膳。鴨が葱どころか野菜に調味料に鍋から茶碗までそろっているようなもんだ。
でも、手を出すにもここは忍たま長屋。両隣には人がいるし、それを無視するにしてもいつ僕の同室である伊助が帰ってくるかもわからない。
なのでぐっと我慢して、僕は団蔵の脚をぴしゃりと叩いた。
「団蔵、脚だらしない」
「てっ、何だよ、別にいつもこんなもんだろ。誰かに迷惑かけているわけでもないし、いいじゃん」
いや、今まさに僕が困ってるんだけど。理性を保つのに。
とはいえ、そんなことを言えるわけがない。
なので僕は言葉の代わりにちょっと驚かしてやろうと団蔵に覆いかぶさってみた。
団蔵はきょとんとした顔で僕を見上げている。
ああ、もう。僕は、勢いのまま団蔵の唇に口を合わせた。
「こういうこと、したくなるからやめろよって言ってるんだけど」
「こういうって・・・?」
顔を上げて、そういうと団蔵はまだきょとんとした顔のままだった。
「何?とかこの状態でぼけたこと聞くなよ?泣きたくなるから」
「いや、それはわかるんだけど、というか俺・・・最初っからそうなると思って伊助に今日部屋に泊まってくからっていってあるんだけど」
「・・・」
「・・・」
僕は仕切りなおしとばかりに、もう一度団蔵に口付けた。
「唇なら愛情のキス」フランツ・グリルパルツァーの「接吻」より引用。
できあがり庄団。珍しく庄ちゃんが黒くない上振り回されてるもの書いた気がする。(それもどうなんだ)
にしても、うちの団蔵って受けなのに何でこんなに受けっぽさから離れていくんだろう
8.瞼に憧れの口付けを(雷鉢)
「お前みたいになれたらいいのに」
僕の顔をしたまま、君は言う。
「姿かたちはいくらだって真似られるのにな。俺はどうにもお前みたいに優しくなれないみたいだ」
愚痴のような言葉、自嘲するかのような笑み。
まるで泣くのを我慢しているみたいで、僕は引き寄せられるみたいに彼のまぶたに軽く口付けた。
そして。
ばきっ
「ってぇ〜!!」
きょとんとしている彼の横面を張り倒した。
「甘ったれるな、馬鹿」
そんなこと、僕だってずっと思ってるんだ。
「瞼ならなら憧憬のキス」フランツ・グリルパルツァーの「接吻」より引用。
あれ?これ雷鉢?(聞くな)
とりあえず、鉢屋さんにとって雷蔵さんは唯一甘えられる相手で叱り飛ばしてくれる(手が出ることも多々あり)相手だと思う。
9.頬には厚意の口付けを(3年生)
手なら尊敬
額なら友情
頬なら厚意
唇なら愛情
瞼なら憧憬
掌なら懇願
腕と首は欲望
「というように、意味が外国の接吻にはあるらしい」
「ふうん、じゃあさっききみこが藤内の頬に接吻したのは・・・」
「厚意だな。おめでとう、藤内。きみこが嫁いでいくのは淋しいが、お前なら任せられる」
「いや、違うだろ『威嚇』とか『捕食』の間違いだろ!というか、僕に蛇の嫁を貰えって言うのか?」
「其れ以外はみな狂気の沙汰」フランツ・グリルパルツァーの「接吻」より引用。
たぶん忍たま界初、藤内×きみこ(え)。三年はこんな感じにとにかくじゃれていればいい。
10.其れ以外はみな狂気の沙汰(黒綾三木。エロ注意報)
引き寄せて、顔を傾けて、刻み付けるように僕は君に口付ける。
「ん・・・ふぅっ・・・んん」
逃げられないように顎を捉えて、重なった唇を舌で舐めあげて。
「・・・っはっ・・・っめろって・・・いってんっ」
息苦しさに文句を言うため開いた口に、舌を絡めて。深く深く口付ける。
何も考えられなくなるように。
僕のこと意外考えられなくなるように。
まるで呪いのように、口から首へ、首から胸へ、僕は君の全部に口付ける。
「ねぇ」
そして、僕は君に問う。
「少しは僕を好きになってくれた?」
「其れ以外はみな狂気の沙汰」フランツ・グリルパルツァーの「接吻」より引用。
・・・やりすぎた気はしている。でも、他にネタが思いつかなかったとです。
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