「いいなぁ」

「喜三太、主語を入れてくれなきゃわからないよ」

「んー、金吾の髪はいいなぁって思ったんだ」

「ごめん、主語入れてくれてもわからなかった」

 

そんなことを言われたのは初めてだ

 

 

 

 

 

 

ラフメイカー

 

 

 

 

「だからさ、金吾の髪ってまっすぐじゃない。朝起きてもそんなにぐしゃぐしゃにならないでしょ?」

「まぁ・・・・・・そんなにはね」

 

納得、喜三太の髪は量が多い上癖っ毛で絡みやすいもんなぁ。毎朝てんやわんやしながら梳かして大変そうだし。
それと比べたらどうしてもまっすぐな髪が羨ましいんだろうな。

でもさ。

 

「僕は喜三太の髪のほうが一部だけ可笑しな色でも固い髪でもなくて羨ましいよ?」

 

僕の髪は前髪だけ金に近い茶色という割と珍しい色をしている。父上もそうだから病気ではなく遺伝的なものなんだろうけれど、そのせいでらかわれたことも少なくなかったし固い髪だから手触りは悪い。
その点、喜三太の髪は全体的に少し色が抜けているけど喜三太の柔らかい雰囲気に合っているし手触りはずっといい。だから僕を羨ましがることなんてないと思う。

 

「えー、でも金吾の髪ほうが傷んでなくてきり丸が高く売れるって言ってたよ?」

「・・・いや、まあそれはそうかもしれないけれど」

 

きり丸の奴、喜三太に何吹き込んでるんだろう。というかいつの間に比べたんだろう。 まぁ、それはともかく

 

「でも、僕は喜三太の髪好きだよ?柔らかくて暖かい色で見ててほんわかとするし」

 

僕がそういうと喜三太は何だか凄く驚いた顏をした。

 

「はにゃ?本当?金吾」

「うん。喜三太によく似合ってると思う」

「そっか・・・えへへ、僕もね金吾の髪好きだよ。触覚みたいでかっこいいもん」

「・・・それかっこいいの?」

「うん!かっこいい」

 

とてもかっこいいとは思えないなぁと思いながら、それでも喜三太はニコニコと笑って言い切る。
僕は微妙だなぁ、と思いながらつられて笑った。

喜三太といるとよくわからないうちに楽しくなって笑ってるなぁと、自分でも呆れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソングシリーズ第一弾。BUMP OF CHICKENのラフメイカーより金吾×喜三太。 無茶苦茶な理論とか、泣き虫な金吾を笑わせる喜三太にあってると思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

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