そりゃ新年明けての挨拶は礼儀だけどね。

 

 

 

 

年賀(庄団 ほのぼの 日常)

 

 

 

 

「明けましておめでとうございます、庄左エ門。はいこれ庄左エ門の分の年賀状な」

「うん、明けましておめでとう団蔵。ところでさ」

「うん、何?」

「年賀状ってお正月に会えない人へ新年の挨拶をするためのものじゃなかったっけ?なんで直接持ってくるのさ」

「んー、他の人にも頼まれてたし、配達もあったしついでにと思って」

「ふーん、この間はお歳暮の配達で忙しかったのに新年早々大変だね」

「んー、でもこれがうちの仕事のうちだし。父ちゃんとか若い衆は大変そうだけど僕は軽いものとか近場の配達が多いからそうでもないよ。それに能高速号といっしょにいられるし」

「そっか。それにしてもホント、団蔵って馬が好きだね」

「そりゃ馬借の息子だからね。特にこいつは小さな頃から一緒だし。休みの間しか一緒にいられないからなるべく一緒にいてやりたいんだ」

「だからってわざわざみんなの所に年賀状わたしにまわってたりするの?大変だろう?」

「違うって。それに届けに来たのは庄左エ門のぶんだけだよ」

「え、みんなに届けに行ってるのかと思った」

「さすがにそこまではしないよ忙しいのにって父ちゃんに怒られるもん。これは特別」

「ふーん、そう。じゃあちょっと家に寄っていかない?」

「いいの?」

「うん、お雑煮でも食べていきなよ」

君は無自覚でこういうことをしてくるから。思わず期待しちゃうんだ。言ったところで不思議がるのだろうけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

この頃に年賀状なんてあったっけなんて言っちゃ駄目です。(苦笑)

若旦那はこのくらい無自覚な方が書いていて楽しい。

 

 

 

 

 

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