まだ見ぬ明日のために出来ること


入学前の話








未来のための先行投資。
欲しいもののためならどケチはなんだってやれるんだ。







2,きり丸









「ふ〜ん、忍者の学校ねぇ」


その存在を知ったのは戦場での弁当売り中の足軽達の会話。
最初は今までそんなもんがあるなんて知らなかったから、そういう学校もあるんだなぁとちょっと気になるかな程度のもんだった。
でも、何でだかそれは日に日に気になって仕方なくなって、なんとなくそれは銭儲けの良い考えが浮かんだときと似ているような気がした。
だからだろうか。


「坊主〜、弁当一つ頼まぁ」

「あいよ〜毎度あり。ところでおじさん」

「ん?なんだぁ?」

「忍術学園ッて何処にあるか知ってる?おじさんこの間そんな話してたじゃん」


こりゃあどケチの俺としては放っておけねえよなと、常連で気のよさそうなおっさんに気付けば聞ていた。


「何だ坊主、忍者に興味があるのか?」

「う〜ん、そう言う訳じゃないんだけど気になってさ」


おっさんはふ〜んと頷くと口元に手を当ててなにやら考え込んでいる。
どうやらその話について色々思い出そうとしてくれているらしい。戦の真っ最中だって言うのにやっぱり人の良いおっさんだ。だが、残念ながら思い当たることは無かったらしい。


「あ〜、悪いな坊主。俺ぁそこまで詳しくねえんだ。だが一般には知られてないものの金さえ払えば誰でも入れるらしいとは聞いている」


こっちが恐縮してしまうくらい本当にすまなそうに謝られてしまった。なので質問を変えてみることにした。


「じゃあさ、忍者って儲かる?」

「そうさなぁ。俺にはそう言うことはとんとわからんが勉強して手に職つけるのは悪いことじゃねぇと思うぞ。こういう世の中だから忍びのもんの需要も高いらしいしな」

あっちこっちで戦だらけだからなあ、とおっさんはしみじみ言った。


「あ、そう言えば合戦場に忍術学園の生徒が実習で来ることもあるって聞いたことがあるぞ。その生徒だか先生だかを見つければ忍術学園のことを教えて貰えるんじゃないか?」

「ふぅん、そっか。有り難う探してみるよ」


短く礼を言い、俺は踵を返した。おっさんはおう頑張れよと言い戦場に戻っていった。
そう簡単に見つけられるとは思えないけど、俺は忍術学園のことについて調べることにした。
でも、その前に目の前の弁当を売ってしまわないとなと商売に戻った。














入学前の話きり丸編。きっかけはこんな感じかなと思い書いてみた。
うちのきり丸はどケチでも将来のための投資ならば躊躇わない子。






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