入学前の話
「このままじゃいけないって言うことは僕でもわかっていたから」
だから僕は此処に行くよ。
3,しんべヱ
「お兄様」
「何?カメ子」
「忍術学園に入学されるって本当ですか?」
「うん、本当だよ。それがどうかした?」
「・・・いえ、でもここから通うには少々遠いでしょう?」
「うん、だから寮に入らなきゃいけないみたい」
「・・・寮ですか。じゃあ、なかなか会えなくなってしまいますね」
「うん、そうなっちゃうね」
「お兄様」
「うん、何?カメ子」
「寂しいです」
「うん、僕もだよ。でもねカメ子。僕は福富屋の跡取りだから機敏な子にならなきゃいけないんだって。そうじゃなければ僕が福富屋を継いだとき福富屋を潰しちゃうかもしれないし、そうしたらうちで働いてる人たちは失業しちゃうでしょ?そういう風に困る人がいっぱいになってしまうんだって。だからね、忍者の学校に行けば機敏な子になれるかもしれないから入学するんだ。えーっと、途中からいろいろごちゃごちゃになっちゃったけど僕の言っていること分かる?」
「はい。でもお兄様」
「うん、何?」
「お兄様はそれでよろしいのですか」
「うん。このままじゃいけないって言うことは僕でもわかっていたから。パパのいうとおりそうすることに決めたんだ」
「そうですか」
「うん。そうだよ」
「では、お兄様3つ約束して頂きたいことがあります」
「何?カメ子」
「手紙をください。あちらのお友達のことやあちらでの出来事を出来るだけ教えてください」
「うん」
「休みの日には出来るだけ早く帰って元気な顔を見せてください」
「うん」
「最後に、卒業されたらここに帰ってきてください。待っています」
「うん、ちゃんと帰ってくるよ」
「約束ですよ?」
「うん、約束する。だからね、カメ子」
泣かないで欲しいなというのは僕のわがままかな。
了
入学前シリーズしんべヱ編。
寧ろ福富兄妹編。入学のきっかけを書いていこうシリーズなのに何故かきっかけ書かないで入学決定後の話になってしまいました。ひとえに福富兄弟の会話が書きたかったからだと思われます。
兄弟愛大好きなので。
しんべヱは妹思いのいい子だし、カメちゃんもお兄さん思いのいい子なので思いっきりシスコンブラコンにかけるので。カメ子ちゃんはしんべヱにだけはわがまま言ってると良いよ。という思いを込めて。
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