注意:この小説は戦国BASARAのNPCキャラ長曾我部元親と、ゲームには出てこない(でも史実上の正妻ではある)菜々を捏造して描いた妄想甚だしい小説です。
寧ろ名前変換のない夢小説に近い感じなので苦手な方はご注意ください。
また、作者が司馬遼太郎先生著「夏草の賦」を読んだ勢いで書いた小説なので、ネタばれとか小説の雰囲気を大事にしたい方、オリキャラ嫌い、歴史的矛盾のある小説嫌いさん、ノーマルカプ苦手な方にはお勧めできません。
寧ろブラウザバックを推奨いたします。以上の条件に当てはまらない、寧ろどんなのでも大丈夫さ、コイツはちょっとアホなんだなぁと笑って済ませられる方のみスクロールお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瞼上を風が撫でる気配に目を覚ます。
目の前には俺の眼帯を手に、整った顏に悪戯めいた表情を浮かべる妻がいた。


 

 




臆病者の世界

 

 





「・・・菜々」
「はい」
「返せ」
「嫌でございます」

俺が膝を借りたまま物も言わず寝そべっていたのがよほど暇だったのだろう。
寝そべったまま握られた眼帯に手を伸ばすと、にこにこと楽しげに笑いながらそれを避けるように頭上へ掲げられてしまった。
流石に寝たままでは取れるものではない。
俺は黙って上半身を起こし掲げられた眼帯に手を伸ばす。
しかし布地に手がかすりそうな位置まで手を伸ばした途端ぱっと逆手に持ち返られた。
・・・。
おれは黙ってそれを追いかける。が、今度はぱっと後ろ手に床に落とされた。
・・・・・・。
仕方なく拾い上げようと今度は床に手を伸ばす。が、今度は掴む寸前にぱっと拾い上げられた。
・・・・・・・・・馬鹿にされてるのか?俺は。
そう思うなり、俺は眼帯を諦めて再びコイツの膝に頭を乗せて目を閉じた。
この顏は人一倍良いくせに、悪戯好きで変わり者の女の思惑通りに振り回されているなんざ癪以外の何者でもない。
どうせコイツはこっちが熱くなればなるほど楽しんで返そうとしないのだろうから、気の済むまで放っておくことにした。
そんな俺の読みきっているんだろう、菜々は楽しげに笑う。


「あら、元親様もうこれはよろしいんですの?」
「・・・・・・」
「今日は一段と早く諦めなさるのですね」
「・・・・・・」
「お眠りになるのでしたら床の準備をさせましょうか?お風邪を召されてしまいますわ」
「・・・・・・」
「元親様は一度風邪を引かれますと長うございますから。先日も一月かかって直したばかりですし」
「・・・・・・人をあんま虚弱扱いすんじゃねーよ」
「しょっちゅう薬湯のお世話になるのですから虚弱ではありませぬか」
「・・・・・・」
「それなのにそのような薄着でいらっしゃいますし」
「・・・・・・」


畜生、心底楽しみやがって。
言い返す言葉の見つからぬまま寝返りを打って顏を横向ける。
そんな俺の様子に菜々はくすくすと笑いながら髪を撫でてくる。
・・・もしかして不貞寝と取られてるのか?これは。
ややをあやすように触れてきやがって。
いっそ実力行使でこのまま押し倒して反撃にでてやろうか。
しかし、それを制すように。


「見えぬわけでもない目をお隠しになってご苦労されてますようですし」


そうして悪戯めいた顏で笑って菜々は俺を覗き込んだ。


「・・・・・・別に苦労なんざしてねえよ」
「あら、距離感を掴めずとまどったりなさるではありませんか。菜々が見過ごしているとでもお思いですの?」
「・・・・・・んなとこ見てるんじゃねーよ」
「妻が見ずして他の誰が気づきましょう。ましてや菜々はいつだって元親様だけを思うておりますのに」
「それとこれとは話が別だろ」
「耳を紅くして仰いましても説得力なぞございませんわ元親様」
「うっせぇよ」


ああ、全く。


「まったく、伊達のせがれのように見えぬわけでも、南蛮の輩の様な異形でもあるまいしそんなもの必要ありますのかしら」


敵わねえったらねえなぁ。

「・・・・・・あるさ。俺は姫若子と呼ばれた男だぜ」
「ええ、存じております。それが何か?」
「俺の本性は臆病者なんだよ」
「ええ、前にお聞きいたしました」
「両目で見るにはこの時代はちぃときついんだよ」


敵にしろ仲間にしろ死にすぎるからな、と俺は弱音を吐いた。
情けないが、どれだけ片意地張ろうがいつだって見透かされている。


「けれど只の臆病者が戦に出て槍を振るうことなどできませぬ」


そして静かに、笑い。


「戦いたくなければ降伏すればよろしいことです。しかし元親様はそうなさいませぬ。臆病だと自分を哂いながら臆しても逃げませぬ。戦うべき時逃げることなく立ち向かえる方を、菜々は臆病者などと思いませぬ」


歌うように言い切った。
そうやって、俺を信じぬけるお前のほうがよっぽど強いじゃねえか、と俺は胸中で毒づいた。
















オマケ
「それはそうと、理由を言ったんだからいい加減返せよ眼帯」
「嫌でございます」
「・・・・・・・お前なぁ」
「此処には菜々と元親様しかおりませぬのに世界を狭める必要も怯える必要もありませぬでしょう?」
そういうと、菜々は俺の瞼に口付けた。
眼帯を取り返すのはもう少しかかりそうだ。









本当に了







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BASARA小説第一弾菜々×元親。寧ろ菜々×元親?
いや、まあBASARAに菜々は出ないけど息子は出てるし、資料として読んだ「夏草の賦」があまりに萌えたのでやってみた。
捏造バンザイ、さりげなく自分の糖度限界に挑戦してみた。
この後は多分エロに突入するんだと思います。








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