名前を呼んで。その声で。私が貴方の元に帰れるように。
恋呼
ただいま!元気な声と共に呼ばれた私の名前。
久しぶりの帰省だというのに真っ先に来てくれたのだろう。肩で息をし、顔が紅潮している。
変わらない、貴方の声の優しい響き。
微笑みを返すと、貴方は笑顔をさらに綻ばせる。
それがすごく嬉しい。
頬に口付けると、擽ったそうに肩をすくめる貴方。
寂しかった?と聞きながら背伸びして首に手を回し私を抱き締める。
その腕のぬくもりが好き。
大切な貴方。
何より誰より大切な私の貴方。
ねぇ、名前を呼んで?貴方の声で。私の大好きな貴方の声で大好きな貴方がくれたこの名前を。
「相変わらず仲がいいですねぇ、能高速号と若旦那」
荷物を運びながらしみじみと清八はつぶやいた
「仲がいいのはいいからさっさと手伝いに入れって言っておいてくれ」
息子の様子に飛蔵は溜め息をついた。
了
混沌前夜設定話。若旦那はとにかく馬に好かれる。そりゃもう老若男女、良い馬、暴れ馬、駄馬
問わず馬全般に。特に愛馬能高速号はその傾向が強く、若旦那を溺愛しているためバカップルに
なりやすい。
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