「モモジルシ」さま信頼し合う二人へ10題より




1 君が隣に居るキセキ

神様というやつはたまに気まぐれで奇跡というやつを起こすらしい。

「神崎は本当に変わっているな」
「毒虫だの毒蛇だのをこんなに大量に飼っている伊賀崎に言われたくないぞ」
「僕はただこの子達といるのが好きなんだ」
「だからってこんなに沢山じゃ世話だって大変じゃないか。大変なことを進んでやるなんて十分変わっているぞ」
「べつに好きなことだからそんなに大変でもないぞ。しかしその変わっている僕と友達だと言い張るお前は僕よりよっぽど変わっていると思う」
「何でだ?ちょっとくらい変なやつの方が一緒にいて退屈しなくて良いじゃないか」
「でも、僕と一緒にいるともれなくじゅんこたちも一緒だぞ?」
「べつに、友達になったからってじゅんこが私に嫉妬して噛み付いてくるわけでもないのに何か問題でもあるのか?」
「周りから変な目で見られたりすると思う」
「そうか?まぁ、私は伊賀崎と友達になるって決断したんだ。問題ない」
「いや、意味がわからない」
「気にするな。忍者は迷ってはいけないのだ」

ほら。じゃなきゃこんなへんなやつを作ったり、ましてや僕と会うなんて。

「・・・まったく、奇跡そのものだな。お前は」
「ん?何か言ったか?伊賀崎」
「別に、それより神崎、風呂は逆方向だ。前を歩くな」

 

 

 

 



2 何度言えば解るんだ?(3年)

「わかった。校庭はこっちだな?」
「違うぞ、左門。こっちだ」
「だから!何で方向音痴の癖に自信もって前に進むんだよお前らは!!どっちも違う!!伊賀崎、三之助を捕まえててくれ。こら待てよ左門!こら」

 

 

 

 



3 隠したって解るよ(次さも)

「何せ俺とお前の仲だからな」
「くっ、何を証拠に」
「証拠?それならほら、お前の手についてるぜ?ちゃんと白い・・・」
「なっ馬鹿な、ちゃんと手は洗ったは・・・あ?」
「ふっ、引っかかったな左門。やっぱりお前が食べたんじゃないか!俺の大福!!」
「し、しまったぁ〜。私としたことがこんな古典的な手に」
「つめが甘かったな。それはそうとまず言うことは?」
「うう、すまん。だが仕方がないじゃないか。会計委員でただでさえ遅れた上、校庭で迷っていたら夕飯を食べ損なってしまったんだ。そんな空腹のときに旨そうな大福があったら手を出さずにいられるはずがないじゃないか」
「うん、それは災難だったな。しかしそれはそれ。これはこれだ。侘びとして次の休みには団子を奢ってもらおうじゃないか」
「うう、今月の小遣いが〜」

「というか、そもそも同室の左門以外に三之助の大福の隠しどころなんて知らないだろ」
「言ってやるなよ伊賀崎。あれはあれで楽しんでるんだから」

 

 

 



4 慰めたりはしない(藤さも)

「大体、ただでさえ方向音痴の癖に突っ走るからだろ。僕はちゃんと止めたからな」
「う゛う・・・だって忍者は〜」
「迷ってはいけない!だろ?そういっていっつも道に迷うのは誰だ?」
「あう。私です」
「だろう。決断力があるのはいいことだと思うけど。時には考えることも立ち止まったり、確認することも必要なんだよ」
「おっしゃるとおりです」
「そんなんじゃ・・・」
「藤内!!」

「・・・ごめん」

「・・・」
「ごめんなさい」
「いいよ、もう。次からはもう少し気をつけてくれよ」
「わかった」
「じゃ。いこうか伊賀崎と三之助が待ってる」
「ああ」
でもさ、私本当に食べたかったから急がずにはいられなかったんだ。鶴亀屋の限定饅頭。


 

 

 

5 約束などなくとも(孫さも)

「何でだろうな、このところ3回に1回は伊賀崎のところに来てしまっている気がする」
「ほう、あと2回は?」
「三之助か藤内のところのどちらかが多いな」
「そうか、それならよかった」
「私としてはまっすぐ目的地に着きたいぞ」
「でも、それなら迷っても僕らのいずれかのところに帰ってこられるんだろう?とんでもないところにいってしまうことがあっても」
「なるほど、そういう考えもあるな」
まぁ、次屋のところでは二人で迷っていそうだけどなとは言わないでおいた。


 

 

 

 

6 ある意味、似ている(藤さも)

人の話を聞いてくれない委員長。
優秀だけど自慢しいな先輩。
そして振り回される一年生。
何かあるとすぐ鍛錬をすることになるところとか。
「どうもこのごろ体育委員と似てるって言われるんだが」
「そりゃお前のところは体育会系委員だからなぁ」


 

 

 

 

7 俺の過去を知っているから性質が悪い(次さも)

「そういや、次屋って入学したとき私より背が低かったよな」
「あ〜、そうだっけ?」
「そうだ!少なくとも去年まで組で一番小さいのはどっちなのか争ったくらいには小さかった。なのに一人だけそんなにょきにょき伸びてずるい!」
「ずるいといわれてもなぁ」
「しかも、止まる気配がない!何か日に日に離されていく一方だぞ私!」
「んなこと言われても俺、今成長期なんだから仕方がないだろう」
「ずるいずるい!少し削って私によこせ!」
「無茶苦茶言うなよ」
まったく。背を測るたび昔のことを持ち出すあたり、1年から同じ組のやつって厄介だなぁと思わずにいられない。


 

 

 

 

8 そういう所が気に食わないんだ(次孫前提の次屋とじゅんこ)

お友達が多いのはいいことよ。
大事な貴方、前よりずっと笑うようになったし寂しそうな顔をすることもなくなった。
私、素直にそう思うわ。だけどね。
「じゅんこ。僕は今、風邪を引いてるんだ、近寄っちゃ駄目だ」
「蛇でも主人の具合が悪いってのはわかるのか?」
「じゅんこは頭もよくて優しいからな。こら、だから駄目だってば。お前にまで風邪がうつったら大変だろう?」
「うつるのか?人間の風邪が蛇に。それはそうとうつすのが心配なら、俺じゅんこを飼育小屋に連れて行ってやろうか?」
「できるのか?」
「んぁー、やっぱ孫兵以外に触られるのは嫌がるかなじゅんこ」
「いや、それなら僕が言い聞かせれば大丈夫だと思う」
「んじゃ、大丈夫だと思う。途中で藤内あたりに道聞くし」
「できればそのまま藤内と行ってくれ。じゅんこ、三之助といってくれるか?」
ほら、こういうとき。ちょっとだけ、寂しくて悔しくなるの。
だって、貴方私より人間の友達頼りにするんだもの。
愛されていることは分かってる。私、こういうとき貴方を助けられないこともわかってる。
だけど、それでも今までならそばにいて心細い気持ち慰めるくらいはできたのに、私その仕事とられてしまったの。
私、それが悔しいの。
でもね、もっと気に食わないのは
「じゃ、俺で悪いが行こうかじゅんこ」
こいつが、底抜けにいいやつで貴方のことを大事にしてくれるから嫌いにもなれないところ。
ああ、まったく気に食わない。


 

 

 

 

9 肩を借りる(孫さも)

「ふぁ〜・・・伊賀崎ー、ちょっと肩を借りてもいいか?眠い〜」
「いや、すまんがそこはじゅんこの指定席なんだ。膝枕じゃ駄目か」
「ん〜・・・この際それでも良いや。じゃあ、昼休み終える前に起こしてくれるか?」
「ああ、わかった」
「ありがとう、お休み〜」

3分とたたないうちに藤内に起こされました。


 

 

 

 

10 結局こうなるんだ…(藤次)

いつだって、考えるのは僕のほう。
「おまえさぁ。お人よしすぎ」
「そうか?」
「そうだよ、大体ペットを逃がしたなんて伊賀崎の管理が足りないせいだろ」
「今回は、生物委員会の下級生が誤って飼育小屋の鍵をかけ忘れたらしいぞ」
「じゃぁ、生物委員会が探すべきだろ」
「そういうなよ。伊賀崎落ち込んでるんだから。それに人数多いほうが早く見つけてやれるだろ」
「見つけるのがお前だったら二度手間じゃないか。生物委員がお前を見つけなきゃならなくなる」
「あははは、ひどいなぁ。いくら俺だって流石に、忍術学園内なら戻れるだろ」
「そう言っていつも迷子になるくせに」
「んー、それを言われるといたいんだがまぁ、何とかなるだろ藤内もいるし」
そうやって、頼りにされちゃぁ断れるはずないじゃないか。
「まったく、いつだって結局こうなるんだ・・・僕は巻き込まれたくないのに」
「そりゃあ、腐れ縁だからな。諦めろ」
「うるさいな、この馬鹿」
僕は、三之助の頭を軽く小突いた。


 

 

 

 

 

掲示板でやっていた3年生小話ログに若干の加筆と修正を加えてみました。

3年はとにかく仲良しでいれば言いと思う。

 

 

 


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