強くなりたいと思った。 まだまだ幼いにもかかわらず、強くあろうとするあの子 を支えられるくらいの強さが本気で欲しいと思った。 守りたいと思った。 たった一人で泣く、何よりも大切な存在を。
誓い 前編
戦が終わってその片づけも大体終わるそのころにゃ、影はとうに俺の背を追い越し空はすっかり茜に染まっていた。 「若旦那?どうかしやしたか?」 普段から活発で男気溢れるお子さんである若旦那にしちゃあ珍しい様子だなと思い、俺は尋ねてみた。 「あー・・・うん。別に何でもないよ。急に声をかけられてびっくりしただけだから」 気にしないで、と若旦那は笑って見せた。
「そうですか?お疲れなんじゃないですか?昨日、今日と馬で村中かけずり回っていらっしゃいましたし。それとも何処かお加減がよろしくないんじゃねえですかぃ?」 顔色は別に悪くないが、もしかしたら腹でも痛いんじゃないかと心配になり尋ねてみた。 「大丈夫!元気だし。ちょっと疲れたけどそんなの清八やみんなだって同じだろ?そんなことより帰ろうよ。僕もおなか空いた」 と、首をぶんぶんと振って否定されるだけだった。そしてそれ以上何か言おうにも 「もう!本当だって言ってるだろ!帰ろうってば!」 と言われるだけなのでそれ以上の事は何も言えず、やっぱり何処かおかしいなぁと思いながらも俺は若旦那の後を追い屋敷へと馬を走らせた。
さて、そんな風に若旦那がおかしかった夜のことだった。
「・・・かった・・・っく。・・・んと、うえっ・・・かったぁ」
と、子供のすすり泣くような声が聞こえた。
続
14巻に清八さんが出てたとしたら、ネタ。続きます。
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