いい加減、慣れた言葉。

いい加減なれたはずの言葉。

いい加減、慣れたと思っていた言葉だったのに。

「あんな高飛車なやつらとよく付き合っていられるな」

 

ふと気づいたら、思いっきり殴りかかっていた。

 

 

 

 

 

太陽と星は共に輝く

 

 

 

 

 

「で、5人も相手に大立ち回りしてきたのかお前は」

「んー、まあ結果的にそうなるのかな?」

「・・・まったく、顔に似合わず無茶をしすぎだ。喜八郎」

「滝にだけは言われたくないなぁ。僕よりよっぽど手が早いくせに」

「私はただ降りかかる火の粉を払っているだけだ」

「うん、過剰防衛甚だしい気がしないでもないね。でもまぁ、こう見えて物騒だったりするんだよ。この顔。相手が自然と油断してくれるし」

「物騒なのはお前の思考だ喜八郎。大体、ほとんどの相手に全治2週間以上の怪我を負わせたというではないか」

「うん、5人がかりで僕はほとんど無傷だなんて彼らは修行不足を否めないね」

「ああ、お前に喧嘩を売る等と愚考に愚行を重ねた大愚行をしてしまうあたり、未熟者としか言えんな」

「やだなぁ、それじゃ僕が危険人物のようじゃないか。僕はちょっと僕の誇りを守るためにちょっと戦ってみただけだよ。君たちのこと悪く言うんだもの。あいつら」

「そうか、全治2週間というのをちょっとなどとは言わないと思うがな、私は。それはそうと、もう少し手加減はできなかったのか?いい加減なれているだろう」

「え〜?そんなことないよ。君と違って僕は温厚で通っているんだから。大抵の人の中では」

「夢を見るのは勝手だからな。しかし私としてはお前は私や三木のことが何か言われるというのにも慣れていると思っていたのだが」

「あれ?滝ってば、自分が何か言われるような性格だって自覚あったんだ」

「凡人が天才を僻むなり良くない感情を持つのはよくある話だからな。まぁ、ろくに努力もせず喚くだけの愚か者の言葉なぞ、この滝夜叉丸には庭のすずめの囀りと大差ないがな」

「そんな可愛らしいものじゃなかったけどね。まぁ。普段なら僕だって微笑でも浮かべて流してるよ?」

「ならば今日も流せばよかったではないか。そんなことで下らぬ輩と下らないいざこざをみだりに起こすな時間の無駄というものだぞ喜八郎」

「うん、それもそうなんだけどだけど許せなかったんだよね。何にも知らないやつらが、僕の君たちが大好きって気持ちをあざ笑いやがったことがさ」

「口調が乱れているぞ喜八郎。それにしてもそんなことでお前は5人もの人間と大立ち回りをしてきたのか?」

「あぁ、しまったついうっかり。でもさ、僕にとってはそんなことじゃなかったんだよ?本当に腹が立って仕方がなかったんだ。確かに、あいつらのいうとおり滝も三木もちょっとばかりは高飛車だし我侭だし自慢しいで付き合いにくいところなんかも結構あるけど」

「おいこら、どさくさにまぎれて言いたい放題言ってるな?貴様」

「だけど、それだけの自信に見合うくらいの努力をしてる。前向きで諦めない強さを持っているとこや、なんだかんだ言って面倒見だっていいとことか、割と優しいやつだってことも僕は知ってる。そんな君たちが僕は好きなんだよ。だから一緒にいたいって思っている」

「真顔で言われるにはなかなか恥ずかしい台詞だ喜八郎」

「そう?でもそれこそ僕の勝手だって言うのにさ。あいつら好き勝手言うんだもん。横面の一発二発殴ったっていいと思わない?」

「それで5人と大立ち回りか」

「うん、まぁ結果的にそういうこと」

「・・・なんというか、あきれ果てれば良いのか怒るべきか私ですらわからなくなってきたぞ」

「んー。じゃあ僕の友情の篤さにむせび泣いて感動したらどうかな」

「阿呆。それでまた同じことをされてはたまらんだろうが。それで怪我でもされた日には私も三木も黙ってはいられないではないか」

「君はともかく三木は怒ってくれるのかなぁ」

「怒るだろう。というより現時点でかなり立腹しているぞ奴は」

「何、三木僕のこと気にしてくれてるんだ」

「お前の期待しているような気に仕方ではないがな」

「うん、でも僕は三木が僕のこと意識してくれるだけでも嬉しいよ。日記に書いておこうかな」

「聡明なこの私としてはこんな喧嘩はもうしないと約束してからにすべきだと思うぞ喜八郎。そしてやるならわからないように書いてくれ。あいつに知れたらうるさくてかなわない」

「出来もしない約束をするなんて無責任以外の何者でもないよね」

「やる前からその努力を放り投げるな。というより、同じことがあったらまたやる気か貴様」

「努力もするしやる気はないけど、やらないとは言い切れないんだよね。自分の性質的に。大体、君だって僕と同じ状況にたったらこういうことをするくせに」

「馬鹿言え、私がそんなことをするはずなかろう」

「どうだかね、滝って結構情に篤いところあるもの」

「それならばなおさらそんな手段にでるはずもなかろう」

滝はそういうと不敵に笑った。

 

「どうせなら、お前を巻き込んだほうが面白い。まぁ、この滝夜叉丸一人でも十分だろうがどうせなら盛大にやったほうが牽制にもなるだろうからな」

 

だからお前も、そういうことで次があったら私を巻き込めと滝はいつもどおりえらそうに言い切った。

やっぱり顔に似合わず喧嘩好きなんじゃないかと思ったのだけど、僕はそうだねとだけ頷いた。

次があったら彼の言うとおり巻き込んでやることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

今までの綾三木に微妙にリンクした綾+滝話。三木が月(衛星)。滝が太陽ときたので綾部は星かなあと。イメージ掴みづらいんでまだ惑星か流星か恒星か掴みかねてるんですが。

滝はこんな感じで綾部と友情を育んでいるので邪魔も支援もしてくれませんと言う話。(嘘)

 

 

 

 

 

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