※注意※ この話は ・鉢屋に激甘な無自覚ホモの雷蔵 ・雷蔵以外を心底どうでもいいと思ってる鉢屋。 ・そんな鉢屋を好きになっちゃった悪趣味な久々知。 ・切れるとバーサク、普段も貞操観念の薄いビッチ竹谷(そして大分頭が弱い)。 という、多分世の五年イメージとはかけ離れた五年によって構成されています。 どんな五年でもいけるよ!って人じゃないと多分、きっついです。 忠告しましたよ?それでもいいですか? 友達賛歌 この時期、雷蔵の家から蜜柑が大量に届く。 どのくらい大量かと言うと、雷蔵と同室の三郎とが1日三個食べてもまだ半月分は余るくらいの量が残るくらいには大量に届く。それも蜜柑が出回る時期に三回くらい。 あまりに大量なもんだから、俺は最初雷蔵の親御さんは蜜柑農家なのか?と尋ねたくらいだ。 因みに返ってきたのはいいとこのぼんぼんだから、雷蔵に甘い親御さんが好物を多めに送ってきたと言う既にわかりきっていた答えだった。 三郎だったらここで絶対面白い返しをするんだが俺としたことが芸人根性のない雷蔵には無茶振りしすぎたな。なんて思ったのは今やいい思い出。 ついでにいくら好物と言ったって明らかに雷蔵の消費量を越えてる、雷蔵の親御さんは馬鹿なのかと思わず呟き、何故か三郎にぶん殴られたのも今やいい思い出だ。 いや、後者はちょっと嘘だ。普通に痛かっただけの悲しい思い出だ。だいたい何で三郎に殴られなきゃならないんだろうか。あいつ強いから普通にすげえ痛かった。三日くらい痣消えなかった。面白味も何もない理不尽な思い出だ。今思い返しても。 まあ、それはどうでもいい話か。 能書きばかりが長引いたが、要はこの時期雷蔵の部屋にいくと大量の蜜柑が食い放題になる。 蜜柑なんてあまり腹にたまらないが、成長期真っ只中な俺としては少ない小遣いをつかわず食べ物が手に入ると言うのはありがたい。 なので今日も兵助を誘っていくつか相伴にあずかろうと雷蔵達の部屋に行った。 「よー、雷蔵・・・・」 ・・・・三郎が雷蔵の股間を枕にうつ伏せで寝ていた。 相変わらず仲良いなこいつら。というか、仲良いからって何も股間に顏突っ込まなくてもいいんじゃねえか三郎。いくら服越しつっても友達の金玉を枕に爆睡すんのはどうかと思う。 絵面的には完全に安っぽい春画だ。いつでも雷蔵のナニを咥えこめる体勢になっている。服を着てるって言っても相当危ない。 雷蔵も雷蔵で自分の金玉を枕にされてるんだから嫌がるなり、気持ち良さそうな顔するなりしろよ。何当たり前のように本読みながら蜜柑食ってるんだろう。これ、相当変な状況だぞ。 どうしたもんかと傍らを見れば兵助は泣きそうな顏で真っ赤になって固まっている。 うん、お前悪趣味この上ないけど三郎のこと好きだもんな。悪趣味なことこの上ないけど。 「あれ?八に兵助。どうしたの?」 どうしたのはこっちのセリフだ馬鹿野郎。 ってか、別に気配消してねえんだから起きろよ三郎。お前天才忍者(の玉子)じゃねえのかよ。少しは人目をはばかれ。どんだけ雷蔵の金玉は寝心地いいんだよこの馬鹿。 兵助はまだ固まっている。高野豆腐だ。三郎なんて俺らに構わず爆睡してるのに。男の趣味が悪いと可哀想だな。 あいつお前と言うか、雷蔵以外に気を使う気ねえぞ。これだけ露骨な態度取られてるんだから、いい加減思い直したほうがいいと思う。じゃなきゃ幸せは遠すぎる。 そして雷蔵の方はと言うと、どういう奇跡なのかさっぱりわかんねえけど兵助の気持ちに気づいてないので、本を適当に脇に置いて三郎の髪をまるで猫の仔でも撫でるかのように梳いている。 ほんと何なんだろうこいつら。これで俺達の間にあるのは友情ですって言い張って誰が信じると思ってるんだろうか。少なくとも俺は信じてねえぞ。絶対自覚してねえだけだよこいつら。 「ああ、三郎ね。昨日寝てないんだ。さっき起きたんだけど君たちだからいいやってまた寝ちゃったんだよ。しょうがない奴だよね」 とかいいながら嬉しそうだなオイ。この無自覚ホモ。口に出そうものなら、その瞬間にとび蹴りされかねない(三郎とか三郎とかあと三郎とかに)からいわねえけど。 というか、三郎は俺に対してちょっと凶暴すぎなんじゃないだろうか。三郎に対する優しさの三分の一でも俺に優しくしてくれても罰は当たんねえと思うんだけどな。仕方ねえかな、ホモだもんな。まぁ、そんなことよりも。 「しょうがないって言うか一回起きて尚、金玉枕にしてんのかよ!つか遊びに来てるってわかってるなら寝直すなよ!絶対寝づらいだろその体勢!」 「まぁまぁ怒らないであげてよ。気を許してる証拠なんだからさ。ちょっと前の三郎なら僕意外の人が入った時点で手裏剣投げてたもの」 「危ないって問題じゃねえだろ。殺す気か!」 訂正、俺以外にも酷かった。人としていろんな意味で。 「あ、でも危ないからやめなねって言ったから最近は飛び起きるくらいだよ。この間昼寝中にちょうど届けものしてくれた善法寺先輩のこと寝ぼけて投げちゃってたけど」 充分危険人物だよ。 というか、善法寺先輩がかわいそうだろ。あの人どっちかって言うと非戦闘員じゃん。医療とか薬とかすげえけど戦闘とかは向いてないじゃん。4年の掘った落とし穴にも引っかかるような人だぞ。三郎の投げ技なんて早すぎて受身取れないだろ。俺ら後輩にも優しい人なのにその仕打ちは酷くね? 雷蔵も「あの時はびっくりしたよ〜」なんて笑っている場合じゃねえだろ。叱っておけよ、そいつお前の言うことならちゃんと聞くんだから。 だけど、俺のそんなごくごく普通の主張は言葉になる前に雷蔵によって遮られる。 「でも、これでわかったでしょ?三郎は君たち相手なら無防備に寝てる姿を見られてもいいくらい二人に気を許してるんだよ。これって凄いことだと思わない?」 なんて、特有の毒気を抜く穏やかな微笑と共に。 うん、三郎が気を許しているのが凄いことかどうかはともかく、雷蔵が凄いやつだと言うことはわかった。 コレ(三郎)を手懐けるどころか、これだけ側にいて可愛いもんだとにこにこしていられるんだから。というか、口に出さないだけで多分、半ば以上本気で先輩さえもぶん投げる男を可愛いやつだなぁとか思ってるんだろうなこいつ。いわゆるあばたもえくぼって奴だ無自覚なだけで。 じゃなきゃ、友人をほっぽって寝こけてる奴相手に気を許してる証拠だよなんて言える筈がない。 自覚してなくてコレ(三郎)にこんなに甘いなら、自覚したらどんだけ甘やかすんだろう。 「何でホントお前らまだ付き合ってないんだ?」 脱力しながら思わず呟く。 当然雷蔵はきょとんとした顏で首をかしげる。 ああ、こりゃわかってないな。本気で全然わかってないな。もうやだこいつら。 三郎は目覚めない。兵助はまだ固まっている。 俺は大きくため息を吐いて、蜜柑を剥き始めた。 たいそう甘いはずのそれは、すでに胸焼けがしそうなくらい二人の空気の前では心地よくすっぱかった。 了 ちゃんとした話としては初書き五年。(いや、拍手では一応書いたことあるけど) とりあえず初めてなので好き勝手書いたら全員別人になった。まぁ、こういう設定なら他の人と被ることないだろうからうちの五年はこういう方向性で行こうと思います。 でも久しぶりにギャグ話書いたのですんげえ楽しかった。 戻る
|