そういやね、この間の用具当番のときのことなんだけどちょっと不思議なことがあったんだ。

 

 

 

 


現の虚

 

 

 

 


この間ね、しんべヱが補習だったから一人で用具倉庫で用具の点検をしていたときなんだけどね。僕らが担当の倉庫にしまわないものとか、足りない用具なんかもあって思ったより一人ではちょっと大変で途方にくれていたらね、手伝おうか?って不意に声をかれられたんだ。
ううん、他の用具委員の子じゃなくて知らない子。
でも、一年生の制服で顔色が悪かったから多分ろ組みの子だったと思うんだ。
それで、夕食の時間ももうすぐだったし、僕ナメクジさんたちに夕飯を上げてなかったし金吾にも頼んでなかったでしょ?だからちょっとだけ手伝って貰っちゃったんだ。
それで後は吉野先生に点検表と間違って入っていた用具を片付けるだけになったから、もう大丈夫だよありがとうって言ったんだけどね、その子「いいよ、最後まで手伝うよ。二人のほうが早く夕飯食べられるよ」って言って半分荷物を持ってくれたの。
だからさ、僕何か御礼しなくちゃと思って「お礼に僕君に何か出来ることない?」って聞いてみたの。
そしたらね、その子

「じゃあ、一緒に行ってほしいところがあるんだけどいいかな?」

って、聞いてきたんだ。
それで「いいよ、何処?」ってその子に聞こうとしたらね。



「駄目!!」



ってそのときたまたま通りかかった三治郎が怒鳴ったんだ。すっごい怖い顔で。
僕びっくりしちゃっておろおろしてたらね、三治郎ってば不機嫌そうな顔ですたすた僕らの方に来てね。



「後は僕が手伝うから君はもういいよ」

って、その子から荷物を取っちゃったの。それでね。

「だから喜三太を連れて行っちゃ駄目だからね」

って、その子を一睨みすると僕の手を引いてすたすた歩き出しちゃったんだ。
本当、怖かったんだよ〜あのときの三治郎。いつもはニコニコ穏やかに笑っているのにずーっと潮江先輩や中在家先輩みたいにむっつり眉間にしわ寄せちゃってさ。
もう、本当に怖かったからその日は僕三治郎に話しかけられなかったし、その子にもお礼を言いそびれちゃったんだ。
それでね。僕、次の日にその子にお礼を言いに行こうとろ組みに行ってみたんだけど、その子いなかったんだ。
うん、じゃあい組みなのかなぁって思ってそっちにも行ってみたんだけどそっちにもいなくてさ。
もちろんは組の子でもないし、しょうがないから三治郎にあの子知ってる?って聞いてみたんだ。そうしたらね。

「さあ、行かなきゃ行けないとこに行ったんじゃないかな。それより喜三太、知らない人にはついていっちゃ駄目だし、今度からしんべヱがいないときに用具倉庫に入らなきゃいけないときとかは僕とか金吾とかに声をかけなきゃだめだよ。君は見えすぎて区別がつかないみたいだけど世の中には良くないモノも沢山いるんだからね」

って、注意されちゃったんだ。何でだろうね。
あれ、金吾顔色悪いよ。どうしたの〜?

 

 

 

 

 


 


 

 

 

 


うちの喜三太は自覚のない見えちゃう子で三治郎は自覚のある見えちゃう子ですと言う話。
オリジ設定もいいとこだ(苦笑)
金吾はそういうったものに嫌われる子で見えないんだけど、そういった類は嫌いなので話を聞いているうちにびびった模様。基本的にヘタレです(そんな身もふたもない)
砂月はへタレ金吾と天然喜三太と実は強い子三治郎を応援しています。

 

 

 

 



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