闇の中、差したのは貴方と言う幼い光


闇上がり(清団。オリジナル設定注意)

 

 





覚えているのは、村も家も父も母も殺した明かりから逃げ出したということ。
そのまま只闇の中を突っ走り、全てを無くしたと思っていたあの日。
全ての光に怯えていたあの日。

「お兄ちゃん何処か痛いの?それとも迷子?」

紛れもなく偶然出会っただけの俺に、幼い貴方は手を伸ばし

「なんでそんなに泣いてるの?男は簡単に泣いちゃいけないってうちのとぉちゃんいつも言ってるよ」

俺の涙を拭う手はまだ小さく暖かくて、余計に涙が止まらなくなった俺を

「大丈夫だよ、能は一人でもちゃんと村へ帰れるんだ。そしたらきっと僕のとぉちゃんを連れてきてくれるから、ちゃんと帰れるよ」

そう言って俺の頭を抱え込む腕はまだ頼りなくて。


それでも確かに暖かくて。

俺は余計ににわあわあ泣いた。

不安からじゃなく、もう闇の中を走らなくても大丈夫なんだという安堵の気持ちで。

縋り付いた幼子はお日様の匂いがした。


















5人くらいの人に怒られる覚悟です。(微妙にリアルな数字)
うちの清八さんは戦災孤児で団蔵に拾われたので、団蔵に盲目的な忠誠を勝手に誓ってます。
お題は
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